新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年3月以降の企業説明の延期・中止や一部の企業による採用選考活動の取りやめなど学生の就職活動への影響が生じていることから、一億総活躍担当大臣・文部科学大臣・厚生労働大臣・経済産業大臣より、商工会議所に対して、新卒者等の採用維持・促進に向けた配慮について要請がございました。
事業者におかれましては、要請内容および政府の施策についてご協力いただけますようお願い申し上げます。
【政府の要請内容】
2020 年度卒業・修了予定者等(以下「新卒者等」という。)については、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020 年3月以降の企業説明会の延期・中止や一部の企業による採用選考活動の取りやめなど学生の就職活動への影響が生じているところです。
政府においては、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、これまで経済団体等に対し、多様な通信手段を活用した面接・試験の実施、柔軟な採用選考日程の設定による一層の募集機会の提供や、内定を受けた 2019 年度新卒者等への特段の配慮のほか、中長期的な視点に立った採用を進めていただくよう要請してきたところです。
加えて、今般、第二の就職氷河期世代を作らないとの観点から、2020 年度及び 2021年度新卒者等の採用が着実に進むよう、必要な取組を進めるべく、関係省庁において検討を行い、別添のとおり、「新卒者等の採用維持・促進に向けた取組」をとりまとめたところです。
企業側におかれては、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい事情を抱えているところと思いますが、「新卒者等の採用維持・促進に向けた取組」の支援策も準備を進めているところであり、企業自身の将来のためにも、前途ある若者の将来のためにも、中長期的な視点に立って、2020 年度及び 2021 年度新卒者等の採用維持・促進をお願い申し上げます。
あわせて、意欲や能力を有する若者に応募の機会を広く提供することが重要であり、卒業・修了後少なくとも3年以内の既卒者は、新規卒業・修了予定者等の採用枠に応募できるよう、改めて
若者雇用促進法に基づく指針を踏まえた対応をお願い申し上げます。
新卒者等の採用維持・促進に向けた取組
Ⅰ.現状認識
・2020 年度卒業・修了予定者(以下「本年度新卒者」という。)については、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020 年3月以降、企業説明会の延期・中止や一部の企業による採用選考活動の取りやめなど学生の就職活動への影響が生じているところである。
・民間調査によれば、本年度新卒者の就職内定率は、過去最高の水準であった前年度と比べ、低下しており、概ね2016 年度卒と同水準にある。一方、企業の採用予定者数の動向をみると、本年度新卒者については、約2割の企業が「減らした」と回答している。また、2021 年度卒業・修了予定者の採用計画については、採用の実施又は採用数が決まっていないなど、採用動向に不透明感がみられる。さらに、本年度新卒者で既に内定を得ている学生についても、内定取消しの事例が見られるところである。
・あわせて、卒業・修了後少なくとも3年以内の既卒者を含む、意欲や能力を有する若者に就職の機会を広く提供することも重要である。
・新型コロナウイルス感染症の影響により、企業側も厳しい事情を抱えているところではあるが、第二の就職氷河期世代を作るようなことがあってはならない。このため、学生等が安心して就職活動に取り組めるよう、本年度及び来年度の新卒者等の採用維持・促進を図るため、以下の取組を行う。
Ⅱ.具体的な対策
1.新卒者等に対する支援
(1)新卒者等への就職支援の強化
(令和2年度当初予算 87.3 億円【厚労省】)
(令和2年度第 1 次補正予算 8.6 億円【厚労省】)
(令和3年度概算要求 95.4 億円+事項要求【厚労省】)
① 新卒応援ハローワークについて、対象者に新卒者のみならず、3年以内の既卒者も含まれることを明確化しつつ、積極的な利用を周知徹底【厚労省】
② 大学のキャリアセンター等との連携を強化し、就職支援ナビゲーター(※1)の大学への定期的な訪問、新卒応援ハローワークへの誘導を働きかけ【厚労省、文科省】
(※1)担当者制で個別相談等を行う新卒者等の就職支援を専門とする職業相談員
③ 新卒応援ハローワークによる新卒者及び3年以内の既卒者の個別の状況に応じたきめ細かな支援【厚労省】
○就職活動中の未内定学生等
担当者制によるきめ細かな個別支援
学生個々の状況を踏まえつつ、人手不足分野等の求人への誘導・開拓
就職説明会・面接会情報の SNS 等を活用した一元的な提供
悩みを抱える学生等へ臨床心理士等による心のケア
○コミュニケーションに課題を抱える学生等
就職支援ナビゲーター、臨床心理士等から構成する特別支援チーム(※2)による支援
(※2)コミュニケーション等に課題を抱える新卒者等を効果的・集中的に支援するため、臨床心理士などで構成するチーム
○内定取消し等にあった学生等
「新卒者内定取消等特別相談窓口」による個別のきめ細かな支援
○来年度以降新卒者
就職支援ナビゲーターが大学等を訪問して行う講話等を通じ、より早い時点から就職活動に向けた意識醸成を図るとともに、地域の産業等についての説明会を早期に実施
(2)大学等を通じた就職支援の強化
大学等を通じた就職未内定の学生への就職支援の強化に取り組む。【文科省】
○就職活動中の未内定学生への支援
大学等の特色ある就職支援の事例を収集し、大学等が活用できるよう広く周知【文科省】
政府・地方公共団体・企業等が有する学生が進路を決定するために有益な情報を集約し、大学等に提供することで、様々な事情や個別課題を持った学生に対するオーダーメード型の就職支援を構築し、ミスマッチを防止【文科省、関係省庁】
○就職未内定のまま卒業する学生への支援
新卒応援ハローワークの活用や大学等のキャリアセンター等の学内リソースの継続的な利用について促進【文科省】
○就職未内定のまま修業年限を超えて在学する学生への支援
学生の就職活動の積極的な状況把握に努め、学生が学修時間等を確保しながら安心して就職活動に取り組むことができるように支援するとともに、学生が活用できる幅広い支援策を必要に応じて情報提供【文科省】
2.企業に対する支援
(1)新卒者等と採用意欲のある中小企業とのマッチング促進
(令和2年度予算 11.7 億円の内数【経産省】)
(令和3年度概算要求 12.9 億円の内数【経産省】)
各地域にある経済産業局において、中小企業と多様な人材の合同マッチングの機会を設けるとともに、中小企業の魅力を伝えるための経営者と大学生等の交流の場の設定等を含む、新卒者向けの取組の積極的な情報発信を実施【経産省】
(2)東京等の若者人材の移転支援
(令和3年度概算要求 30.0 億円の内数【経産省】)
新型コロナウイルス感染症の影響による地方移住への関心の高まりといった状況を踏まえ、東京をはじめとする都市の若者人材の移転に関する手法を検討【経産省】
3.経済団体等への要請
政府において、以上の取組を進めるとともに、経済団体等に対し、第二の就職氷河期世代を生まないとの観点から、本年度及び来年度の新卒者等について中長期的な視点に立った
採用を行うよう要請を行う。
あわせて、意欲や能力を有する若者に応募の機会を広く提供することが重要であり、卒業・修了後少なくとも3年以内の既卒者は、新規卒業・修了予定者の採用枠に応募できるよう、改めて若者雇用促進法に基づく指針を踏まえた要請を行う。
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