2020年6月16日火曜日

雇用調整助成金および小学校休業等対応助成金の更なる拡充(助成額上限の引上げ等)について(厚生労働省)



 6月12日に2020年度第二次補正予算および関連法が成立したことを受けて、雇用調整助成金および小学校休業等対応助成金が以下のとおり拡充されました。

1.雇用調整助成金の拡充内容

雇用調整助成金とは、売上減少等により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業等を行い、雇用の維持を図った場合、労働者が従業員に支払った休業手当等の一部または全部が助成される制度です。

(1)緊急対応期間の延長


 新型コロナウイルス感染症にかかる特例措置としての緊急対応期間(2020年4月1日~6月30日まで)が3カ月延長され、「2020年4月1日~9月30日まで」となりました。


(2)助成額上限の引上げについて


 雇用調整助成金の1人1日あたりの助成額上限が、2020年4月1日から9月30日までの間、企業規模を問わず8,330円→15,000円に引上げられました。


(3)解雇等を行わない中小企業の助成率の拡充について


 解雇等をせずに雇用を維持している中小企業の休業および教育訓練に対する助成率は、原則9/10(一定の要件を満たす場合は10/10など)となっていましたが、一律10/10に引上げられました。


(4)遡及適用について


 (2)および(3)の引上げ・拡充については、すでに申請済みの事業主の方についても、以下のとおり、2020年4月1日に遡って適用されます。

 なお、労働局・ハローワークで追加支給分(差額)を計算しますので、再度の申請手続きは必要ありません。


①すでに雇用調整助成金の支給決定された事業主

   ⇒後日、追加支給分(差額)が支給されます。

 ②すでに支給申請をしているが、雇用調整助成金の支給決定されていない事業主

   ⇒追加支給分(差額)を含めて支給されます。


 一方、①および②の事業主の方が、過去の休業手当を見直し(増額し)、従業員に対して追加で休業手当の増額分を支給した場合には、当該増額分についての追加支給のための手続が必要となります。


(5)出向の特例措置等について


 雇用調整助成金の支給対象となる出向については、出向期間が「3か月以上1年以内」とされていましたが、今般、「1か月以上1年以内」に緩和されました。

 なお、(公財)産業雇用センターにおいては、新型コロナウイルス感染症への対応として、「雇用シェア(在籍出向制度)」を活用して従業員の雇用を維持する企業を支援するため、「雇用を守る出向支援プログラム2020」を開始しました。詳細は、リーフレットをご参照ください。


○厚生労働省ホームページ 雇用調整助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

○厚生労働省作成リーフレット 「雇用調整助成金の受給額の上限を引き上げます」
https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000639422.pdf



2.小学校休業等対応助成金の拡充内容


 小学校等の臨時休業により、子どもの世話のために仕事を休む労働者に有給の休暇を取得させた事業主に対して、支払った賃金相当額(上限あり)を助成するものです。

(1)対象期間の延長


 対象となる休暇取得期間(2020年2月27日~6月30日まで)が3カ月延長され、「2020年4月1日~9月30日まで」となりました。また、助成金の申請期間(2020年9月30日まで)も3カ月延長され、「2020年12月28日まで」となりました。


(2)助成額上限の引上げについて


 2020年4月1日以降に取得した休暇については、雇用調整助成金と同様、1人1日あたりの助成額上限が、8,330円→15,000円に引上げられました。


○厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

○厚生労働省作成リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/000639323.pdf


【参考】新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の創設


 新型コロナウイルス感染症等の影響により、事業主により休業させられた中小企業の労働者のうち、休業期間中に休業手当を受けることができなかった者に対して、標記支援金を給付する制度が新たに創設されました。休業前賃金の80%(月額上限33万円)が休業実績に応じて支給されます。

 なお、労働基準法第26 条では、事業主は、事業主都合で労働者を休業させた場合、労働者の最低限の生活の保障を図るため、休業期間中に休業手当を支払わなければならないとされています。したがって、会社で労働者を休業させるときには、雇用調整助成金を積極的に活用して、休業に対する手当を支払うことが本来的には望ましいと言えます。


○厚生労働省作成資料「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案」
https://www.mhlw.go.jp/content/000637670.pdf