2016年2月8日月曜日

電力小売り自由化 2016年4月より全面開始!

 わが国の電気事業制度は1995年以降、競争原理の導入や小売自由化対象の順次拡大など累次の改革が行われ、現在は第5次改革が進められています。
 第5次改革は、三段階に分けて進められることになっており、第一段階として、今年4月に電源の広域的な活用に必要な送配電網の整備等を担う電力広域的運営推進機関を設立。第二段階として、2016年4月に電力の小売が全面的に自由化されます。
 これまでの間、大規模な工場等が利用する電力の小売については既に自由化され、地域の大手以外の電力会社から電力を購入することが可能であったが、来年4月からは、小規模の事業所や一般家庭を含めたすべての電気の需要家に対する小売が自由化され、需要家は電力の購入先を自由に選択することが可能となります。
 そこで今般、全面自由化される電力市場で適切な取引が行われるよう監視等を行う、電力取引監視等委員会の箕輪恵美子委員に執筆していただいた、電力小売全面自由化により需要家が享受できるメリットや注意点等に関する特別寄稿文を紹介します。



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小工場や家庭も購入可能
 2016年4月から家庭向けの電気の小売自由化が始まります。2000年から大規模工場では自由化が始まっており、地域の電力会社以外の事業者からも電気を買うことができました。今回その範囲が小規模工場や一般家庭まで拡大します。
 この自由化に伴い、都市ガスやLPガス、石油、通信、商社、メーカーなど多様な事業者が電力小売りに参入してくることが期待されることに加え、そうした事業者による料金メニューの多様化や、電気と他の商材・サービスとのセット販売など、皆さまの選択肢が増えることとなります。また、より多くの事業者が電力小売に参入することにより、事業者間の競争が活性化することを通して電気代が安くなることも期待されています。
 皆さまとしては、新しい事業者から電気を買うことに対して停電などの心配をする方もいらっしゃると思いますが、どの事業者から電気を買っても停電が起きやすい、起きにくいといった差はなく、これまでと同様に電力会社の送配電網を経由して家庭などに届きます。


(図)我が国における電力小売自由化の経緯

自分に合った料金メニュー
 むしろ、自分がどの時間にどのくらい電気を使っているかを確認し、自分に合ったよりよい料金メニューを選ぶことによって積極的に電気料金を下げることができるようになるかもしれません。一方で、今回新たに事業者を選択しなくても電力会社が現在の料金で供給を継続しますので、電気の供給が受けられなくなることはありません。
 皆さまが積極的に選択を行うことにより、小売事業者が料金そのもののみならず、さまざまな工夫を通して顧客を獲得しようとするので、より充実したサービスが受けられるようになることが期待されます。
 まずは、資源エネルギー庁のHPに記載された「小売電気事業者」をご確認ください(http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/retailers_list/)。小規模工場や一般家庭向けの電気は、国の登録を受けたこの「小売電気事業者」から購入することができます。
 ホームページに記載されていない事業者から勧誘があった場合は、この小売電気事業者とどのような関係か確認してください。もし、無関係な事業者であれば小規模工場や一般家庭に電気を売ることができません。
 また、登録された「小売電気事業者」は、契約を結ぶ際に、契約期間、電気料金、解約の際の制約などについて十分な説明をすることが義務付けられています。疑問な点は、うやむやにせず、納得のいくまで事業者に説明を求めた上で、契約を結んでください。


事業者選択へ情報収集を
 私が委員を務める経済産業省の電力取引監視等委員会(注)では、電気事業者を選択する際に必要な情報を発信するとともに、悪質な事業者への監視を強化してまいります。委員会のHPでも、契約を結ぶ際に疑問に思う事柄や一般的な電力小売り自由化の仕組みについてFAQを作成しておりますので併せてご覧ください(http://www.emsc.meti.go.jp/info/f
aq/index.html)。
 事業者の皆さまにおかれましては、自分のニーズに合った小売電気事業者選択のための情報収集をよろしくお願いいたします。

(注)電力取引監視等委員会=電力市場における健全な競争が促されるよう、市場の監視機能を強化するため、経済産業大臣直属の組織として、平成27年9月に設立。法律、経済、工学などの専門家5人の委員および専属の事務局から構成。電力市場において適正な取引が行われているか監視するほか、電力小売営業のルールなど必要な制度づくりにも関与する。




電力小売り自由化 ②
- 仕組み理解しトラブル回避 -

 家庭や小規模事業所など低圧需要家向けの電力小売りの自由化が4月から開始されるのを受け、需要家に電力を販売する小売電気事業者がさまざまな料金プラン、サービスの公表を始めました。テレビなどの広告により「電気事業者を選べる」ことが急に身近に感じ始めたのではないでしょうか。そこで今回は、小売電気事業者を選ぶ際、トラブルに巻き込まれないためのノウハウをご紹介します。

ガイドラインで問題行為を規定
 電力小売り全面自由化に向け、経済産業省は新たに「電力の小売営業に関する指針」(通称=小売営業ガイドライン)(案)を作成しました。自由化に伴い、さまざまな事業者が電力小売り市場に参入することを踏まえ、例えば平均的な月額料金例を公表するなど、事業者による自主的な取り組みを促すとともに、事業者に電気事業法や関係法令を遵守させるためのものです。
 ガイドラインでは、事業者が営業活動を行う際の「望ましい行為」と「問題となる行為」を規定しています。「望ましい行為」として事業者による自主的な取り組みを促すものと、業務改善命令が発動される原因となり得る「問題となる行為」を明らかにし、注意喚起を呼び掛けています。
 まず、小売電気事業者は、電力の供給契約を結ぶ前にその内容を必ず書面で説明し、契約締結時には書面で交付することが法律で義務付けられます。皆さまが「書面以外での契約締結」を希望していないのに、書面での説明がなかった場合は法律違反ですので、必ず書面で説明を受ける権利があることを主張してください。
 また、契約では電気料金の算出方法を明記することになっており、例えば「時価」や「当社が毎月末に請求する額」といった不明朗な提示は、「問題となる行為」にあたりますので、きちんと契約書などを確認いただくことが重要です。

業務委託の有無を確認
 また、小売電気事業者が営業を行う上で、電気以外のサービス分野で既に顧客網を持つ他の事業者に、営業業務を委託できるようにして、さまざまな業種から市場参入しやすくなります。このため、小売ライセンスを保有していない事業者でも、契約締結の「媒介」「取り次ぎ」「代理」を行うことが認められています。その場合でも、媒介、取り次ぎ、代理を行う事業者があたかも自らが電気を供給するかのような誤解を与える営業は、「問題となる行為」となり得ます。
 以前ご紹介した、小売電気事業者のリスト(注)に掲載されていない事業者であっても、複数の営業モデルが存在しますので、本当に小売電気事業者から代理業務の委託を受けているかなどを確認することが必要です。ただし、どの営業モデルであっても、契約内容を書面で説明する義務があります。仮に媒介、取り次ぎ、代理を行う事業者から書面説明を受けなかった場合は、小売電気事業者の責任にもなります。

苦情への迅速な対応を義務付け
  加えて小売電気事業者は、苦情や問い合わせについても、適切かつ迅速に対応することが義務付けられていますので、代理業務などを行う事業者が苦情や問い合わせに対し「問題となる行為」を行った場合には、小売電気事業者はその内容を踏まえて適切に対応する必要があります。万が一、苦情や問い合わせに対応しないようなことがありましたら、委員会事務局までお知らせください。
  このように、電力小売り全面自由化により、小売電気事業者の創意工夫や事業者間の価格競争によるコスト低減など、需要家はさまざまなメリットが期待される一方で、市場原理に委ねるだけではなく、契約上のトラブルに巻き込まれることがないよう、委員会では事業者の営業活動に対し必要なルールを整備し、厳格に運用していく所存です。こうした仕組みがあることをご理解いただくことで、より良い形で自由化の恩恵を受けることにつながればと思います。



(図)営業業務委託のモデル


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